ポスチュラル講習申し込み開始 & スーパイン・ウェイテッド・トライセップス・カールズの解説

皆さんこんにちは、ご無沙汰しております、阿部です。


いよいよあと7時間ほど(日本時間5月7日午前8時)で7月東京ポスチュラル・レスピレーション講習の申し込みが開始になりますね。名古屋ポスチュラル・レスピレーション講習の申し込みは一週間後の5月14日、午前8時からになりますので、お申込みご希望の方はご注意ください。阿部と石井、両講師ともども皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。
この夏は、6月にマイオキン講習ソロ講師として広島、仙台にもお邪魔させていただきます。改訂版のパワーアップしたマニュアルを皆様に隅々まで堪能していただけたらと思っています!

さて、本家PRIウェブサイトでは一か月ほど前に公開していましたが、遅ればせながらこちらでも。12月のポスチュラル講習でいただいた質問の回答をしたいと思います(色々あって、遅くなってしまって申し訳ありません)。講習二日目の終盤で右のトライセップスを使うことがいかに重要か、という説明とスーパイン・ウェイテッド・トライセップス・カールズというエクササイズの実技ラボをしたのですが、このエクササイズにはやり方が二通り(ポジションA vs B↓)あり、「このエクササイズのポジションの違いは何?どういう状況の場合、どちらを選ぶのが正解なの?」という質問をいただいていました。


                      ポジションA                               ポジションB

この間ロンと直接話す機会があり、その解説をたっぷり聞いてきました。ロンは「こんな質問、アメリカでされたことないよ。うれしいね、素晴らしいね!」と盛り上がって20分間ほどノンストップでお喋りをしてくれたのですが(ああ、なんて気の良いおじちゃんなんでしょう!ロンと話すときはいつもそうです)、それを阿部バージョンにかみ砕いてさっくり解説しますね。

最初に答えを書いてしまうと、どんな患者相手にもまず試すはポジションAです。このポジションでは、歩行時に左足で身体を前に押し出して、右手を前・上方に振り切った状態(=右立脚中期)からエクササイズが始まるんだ、とイメージするとわかりやすいかも知れません。ここからPropel (前進)するために次にすべきは右腕を振り下ろし、後方に振り切ることですよね。同時に左腕も前に振り上げれば、体幹の右回旋・骨盤の左回旋と一緒に右足のpush-offが起こり、左前方への体重移行が可能になります。

平たく言えば、トライセップス・カールズはこの右腕の「振り下ろし始め」を練習するエクササイズなのです。エクササイズ開始時のポジションでは右肘と右肩は共に屈曲位にあり、上腕三頭筋をisolate(隔離)するのに最適と言えます。肘と肩、両関節で伸長位に置かれたこの筋肉を、肘伸展を通じて収縮させることで「腕の振り始め」に真っ先に上腕三頭筋にスイッチを入れる感覚を体得できた人は、そのあとの「右腕の後方振り切り」はモーメンタムと広背筋らの協力を得て比較的楽に、自然とおこなえるんだということに気が付くかもしれません。

**改めて言及しますが、右の腕を後ろに引く、ということはロンがどの講習でも何度も繰り返し強調する、超超超超超重要事項です。右の腕を後方に振り切るということは右の体幹を後ろに引く、つまりは体幹が右に回旋するということでもあります(例: 下の写真参照)。体幹の右回旋は骨盤の左回旋(L AF IR)と対になるべきPRI介入には欠かせない要素です。ロン曰く、「左スタンス時(下写真)に荷重されていなければならない肢がふたつある。なんだかわかるかい?左足と、右腕だよ!」。歩行時に腕を荷重だなんて、その表現の仕方がまたロンらしいですけれど、つまるところ彼は空間把握や自我確立を導く神経的道具として、この状況では左足右腕が真価を発揮しているべきだと言いたいのです。

エクササイズ#89 レフト・スタンス・インターラプテッド・スイング

話を戻します。しかし、ポジションAで陥りやすいワナは「非常に矢状面に特化したエクササイズであり、上腕の屈曲には腰椎の伸展も伴いやすい」という点です。PRIの基本は適切なポジションで適切な筋肉を使う練習をするところですよね、ですから、患者さんがもしこのエクササイズで呼気(state of exhalation)のポジション、つまり胸郭の屈曲を保てなければ次はAlternate Position(代わりとなるポジション)であるポジションBを試すべきです。

ポジションBでは同じ歩行は歩行でも腕を縦ではなく横に振りながら、水平面で胴体を回旋させながら歩行してるイメージです。右の腕をぶん、と横にスイングし前に持ってきたようなこのポジションでは腰椎の伸展は格段に起こりにくいばかりでなく、体幹の左回旋が促進され、左腹壁の活性化と左後方縦郭の拡張、そして右肩甲骨の安定が起こりやすいのが特徴です。つまり、こちら(ポジションB)のほうが上腕三頭筋を単独で活性化させる(ポジションA)前に、腹壁・胸郭・肩甲骨と腕との統合をまずマスターしなければいけない患者に適したエクササイズなのです。

要約すると、「右上腕三頭筋の活性化にトライセップスカールを用いる場合、最初はポジションAで、もし腰椎の伸展がどうしても起こってしまう場合はポジションBでこのエクササイズをおこなう」ということです。これで皆様の疑問が解決することを祈っています。もしまだほかに質問のある場合はPRI Japanまでお気軽にご連絡くださいませ。

Sayuri Abe-Hiraishi, MS, ATC, CSCS, PRT, PES, CES
2017年05月06日